2010年02月の読書記録

2月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2302ページ

雷撃☆SSガール (講談社BOX)雷撃☆SSガール (講談社BOX)
あおり文句に曰く「ライトノベル風の経済小説」ってことだったが、激しく不同意。ご都合主義すぎてライトノベルカタルシスはないし、経済小説の詳細さや深さもない。何よりも日本語が全くこなれていない。12ページ 「伏し目がちにオレのことを見つめている」という一文で既にげんなり。伏し目がちで、かつ(上目遣いではなく)目の前のヒトを見つめるには相当座高が高くないといけない。よほどの大女なのか、あるいはむしろ主人公「オレ」がひどく小さいのか。こういうディテールがなっていない文章は、内容についても期待出来ないことを保証す
読了日:02月03日 著者:至道 流星
宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
もっと昔の、象の上に亀が乗って…というような世界観から解き明かしていくのかと思った。意外と現在から地続きの科学歴史から語り始める。後のエピソードの豊富さ、登場人物の多彩さを考えると、妥当な離陸地点だったかもしれない。解説にもある通り、宇宙論の発展について描き出すと共に科学的手法、態度という本質論的な主題も上手く浮かび上がるように絡めてある。上質なノンフィクションだと感じた。アイザック・アシモフの科学エッセイみたいなスパイスをもっと効かせても面白かったかなとは思う。無い物ねだりなのだろうけれど。
読了日:02月09日 著者:サイモン シン
宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
ついに「ビッグバン」理論が勝利をおさめる。そこに至るまでの、綺羅星のごとき有名物理学者オールスターによる大論争。宇宙論量子論、極大と極微の世界が裏表になって、この世界を織り上げている実体を探っていく。本書に描かれたところまでは、落ち着くところに落ち着いた様な宇宙論だけれど、ここのところまたかまびすしい。11次元だったり紐だったり、観測可能な物質やエネルギーよりずっと大量大質量の暗黒物質が満ちあふれていたり。いつまでもなぞは尽きないのでありました。
読了日:02月14日 著者:サイモン シン
暗号解読〈上〉 (新潮文庫)暗号解読〈上〉 (新潮文庫)
暗号が決定的な役割を担った歴史的な事件を導入として、暗号作成者と暗号解読者の攻防を描き出していく。原理的に必ず複合出来なければならないし、複合に手間や時間がかかり過ぎても実用にならない。次々に「当時最強」の暗号が作成され、解き明かされていく。作成者側のドラマ、解読者側のドラマをテンポ良く積み上げていき、暗号にまつわる数多の出来事を描きあげていく作者の力量が凄い。
読了日:02月21日 著者:サイモン シン
暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)
バベッジチューリングも凄いなぁ、と人間ドラマに驚嘆する中盤。しかし、終盤にかけては物量と力業による怒濤の展開。機械式からコンピュータの時代となり、現在のネットを介する個人情報秘匿や経済活動保護の基礎をなす暗号に至る。ブラウザとサーバはほんの数ミリ秒で暗号のやりとりをしている(参考:HTTPSコネクションの最初の数ミリ秒 http://www.infoq.com/jp/articles/HTTPS-Connection- Jeff-Moser)のだ。アマゾンで本を購入する際にも本書で解説されているRSA
読了日:02月25日 著者:サイモン シン
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
つぎはぎだらけとか、強引な力業は美しくない。理論物理学でよく言われる話だが、数学ならなおさらいっそう、正しい理論はシンプルで美しいものだと思っていた。コンピュータで総当たり式にゴリゴリ計算して、計算し尽くして正解に至るのは、筋道としては正しいのだろうけれど、美しくはないと感じてしまう。発想の転換で、驚くほどシンプルに、かつ誰も考えたことがない切り口でずばっと証明に至る。そんなロマンティックな時代ではないと言うことか。素因数分解だって、宇宙の寿命が尽きても解けないのだからね(^^;
読了日:02月28日 著者:サイモン シン

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