2009年11月の読書記録

11月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:4744ページ

ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫)
再読。正しく「ナ・バ・テア」の続き。「僕」は草薙水素で連続している。物語中の世界線も連続していて問題ない。初読時には函南は草薙の子供ではないかと思っていた。しかし、「ナ・バ・テア」からの時間経過を考えると、さすがに無理がある。死なない、寿命がないと描写されているキルドレだが、さすがに宇宙戦艦ヤマトのサーシャのごとく無茶苦茶に成長が早いということはないだろう。草薙を空へ誘う作中の描写や講習会でも他のパイロットとの接触がないことなどから考えて、函南の実在性に大きな疑問が浮かぶ。文庫版解説の通り、草薙の中にある
読了日:11月02日 著者:森 博嗣
スカイ・クロラ (中公文庫)スカイ・クロラ (中公文庫)
再読。再読に当たって読み進める順番を変えてみた。だが、まだ変え方が足りなかったみたいだ。本作はシリーズの最後に置くべきだったのだろう。追補としての「スカイ・イクリプス」の直前がお薦めかもしれない。他のシリーズ作品との矛盾、齟齬が多くなかなか内容を咀嚼、理解しつつ読み進めるのが難しい。初読時とはだいぶ違った読み方になった。再読すれば結構、誤読していた点がすぐ明らかになり、するすると謎が解けるはずだと思っていたのだけれど、一筋縄ではいかない。結局、直前に読んでいた「フラッタ」と「クレイドゥ」も読み返すことにな
読了日:11月04日 著者:森 博嗣
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)
再読。転換点。本作と次の「クレイドゥ・ザ・スカイ」が対になって読者に罠を仕掛けている。本作での「僕」は栗田。フーコと良い仲のパイロット。キルドレの秘密と陰謀にまつわる物語。相良亜緒衣は草薙の幼馴染みで同郷。草薙の子供を取り上げた医師の娘…ということで良いのかな。一作丸々使って壮大なトラップを仕掛けている形。それにしても栗田はしょっちゅう落っこちているな。
読了日:11月06日 著者:森 博嗣
クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)
再読。読み返して見たら、確かに「いつもの森博嗣」トリック。読者の思い込みを誘うことによる人物の入れ替え。しょっちゅう引っかかる。先日も萌絵/睦子でやられたばかりだ。そう思って読み進めれば、酒場でのナンパの場面など、初読時に引っかかりを感じた部分に得心がいくことしきり。「僕」は原点に戻ったのだ、と内心得意に思いつつ読み進めると、最後に函南が出てきて足下をすくわれることになる。どれだけ性格が悪いんだよ>作者と、思わないでもないけれど、よく考えると、ここから「スカイ・クロラ」に繋がっていくのだった。いくつかの疑
読了日:11月08日 著者:森 博嗣
スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫)
再読。それにしても笹倉は年齢不詳だ。「スカイ・クロラ」冒頭では若そうだと描写されていたので、ここにもまた違和感を感じた。草薙瑞季は娘ではなく、やはり妹なんだろう。と、すれば函南の正体もやっぱり「僕」だ。それでシリーズ全体が一本の流れに収束する。問題は性別。ネットも漁ってみたけれど、詳細な考察には行き当たらなかった。私見としてはポイントはキルドレという言葉。None But Airが「ナ・バ・テア」になるパターンでキルドレはChildrenであることには異論はないでしょう。ChildではなくChildren
読了日:11月08日 著者:森 博嗣
お散歩ブック (角川文庫)お散歩ブック (角川文庫)
日常生活での面白探し。散歩という日常活動の中で、能動的に面白いこと、楽しいことを探していく。著者のように風景をスケッチ出来ない私も健康志向で散歩をする。私の基本装備は万歩計とiPhone。道々の風景や変な建物を狩猟しながらズンズン歩くのだ。
読了日:11月10日 著者:杉浦 さやか
蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)蒲公英草紙―常野物語 (集英社文庫)
端正なお話。「光の帝国」から久しぶりの常野物語シリーズ。前作でも重要な位置を占めていた「しまっちゃう」春田一家が重要な役所で出てくる。語り手の峰子、主役の聡子をはじめとする人々が皆、凛としていて端正だ。「光の帝国」でも語られていた、昔は日本にたくさんいた姿勢の良い人々なのだと思う。聡子の運命は冒頭から避けられないものとして示されているし、途中途中でも繰り返し予兆が語られる。なので、その時、が訪れること自体には意外性はない。むしろ、凛として誇り高く、歓喜の中に聡子がその時を迎えたことで、感極まってしまったの
読了日:11月13日 著者:恩田 陸
フリー~〈無料〉からお金を生み出す新戦略フリー~〈無料〉からお金を生み出す新戦略
無からお金を生み出す、のではなく、あくまでも無料から生み出す戦略。Googleの快進撃を目の当たりにしている現在のネット利用者には非常に説得力がある。実際にEvernoteDropBoxなどのフリーミアム(Freemium)サービスを自分でも利用していた。著作権などの法律、倫理の問題としてだけではなく、稼いでいく戦略として情報、ネット、サービスを考える上で「無料」はキーポイントだと実感する。基本を無料サービスに置いているGoogleが大きくなっていく一方、「ユーザーには情報は有料であると学んでいただきた
読了日:11月14日 著者:クリス・アンダーソン
光の帝国―常野物語 (集英社文庫)光の帝国―常野物語 (集英社文庫)
再読。常野一族と呼ばれる一群の人々にまつわる短編集。人々の中に紛れてはいるが、常人にはない力をもつ一族。旅をし、市井に溶け込んでいくことを励行しているけれど、連綿と力が受け継がれていく所を見ると優勢遺伝なのか。それどころか一般人だったのに結婚したら力に目覚めたなんて描写もあるところをみると、潜在的にはどんな人間にも力は潜んでいるのか。力を持った少数集団につきまとう悲劇。この悲劇を打ち破るために政治の場面に打って出ることになるのか。鶴先生の元に子供たちは全員戻ってくるのだろうか。続編が待ち遠しくてならない。
読了日:11月16日 著者:恩田 陸
エンド・ゲーム―常野物語 (集英社文庫)エンド・ゲーム―常野物語 (集英社文庫)
本作が常野物語シリーズの完結編なのかと思っていた。あにはからんや、まだまだ続きそうだ。短編集「光の帝国」中の一編の続編。草が生えるのがデフォルトかと思っていたら、人により見えるものが違うという点で大きくずらされた気がする。「光の帝国」でたくさんの人々がビルの壁面に生えた草や蔦を除去していたのは何だったんだ。主人公一家は常野一族で良いようだけれど、対立している「あいつら」は何なのだろう。精神のありようが違うだけで、異形の生き物ではないし、交配すら出来るのだから、単に別の一族なのだろうか。洗濯屋も常野一族のよ
読了日:11月19日 著者:恩田 陸
英語で手帳をつけてみる英語で手帳をつけてみる
一読してすぐに効能効果が得られる類の本ではない。導入部でだいたいのやり方をつかんで、後は実践あるのみ。後半は実際にやってみた時にちょいちょい使ったら便利だよとか、ざっと調べる際にべんりだよ、という類のページが延々続く。実際に初めて、続けてみるならば有効な本でしょう。
読了日:11月22日 著者:石原 真弓
iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)
本書のようなホット・エリアを扱った啓蒙書の難しい点は、ホットであるが故に情報が陳腐化する速度が速すぎること。だいたいの情報はネットで得られるものが多いし、扱っているアプリケーションも激しくバージョンアップしているので改訂が大変そうだ。本書で取り上げられているアプリケーションも無料/有料表示のものが大半で、これもまたフリーミアムの一例なのだろうと思う。
読了日:11月26日 著者:堀 正岳,佐々木 正悟
スカイ・クロラ (中公文庫)スカイ・クロラ (中公文庫)
読了日:11月28日 著者:森 博嗣
光の帝国―常野物語 (集英社文庫)光の帝国―常野物語 (集英社文庫)
読了日:11月28日 著者:恩田 陸
アイの物語 (角川文庫 や 40-4)アイの物語 (角川文庫 や 40-4)
アイビスの愛称であり、一人称代名詞Iであり、虚数iであり、人工知能AIであり、そして、もちろん愛の物語。巻末の初出一覧を見ると1997年から単行本版での書き下ろしとなる2006年までの長期に渡って様々な雑誌に発表された短編を千夜一夜形式に再構成したものと思われる。ただの短編集ではなく、インターミッションとして挿入される「アイビス語り部の物語」によって短編群全体の物語を包括し、アイビス語り部の背景にある物語につなげていく構成は見事。アイビスとケンイチ(デカルトの密室)、楽園で虐殺されるAIたち(グラン・
読了日:11月30日 著者:山本 弘
ぷちます!(1)ぷちます!(1)
千早と貴音だけが公式設定とだいぶ異なったキャラクター付けがされている。わざわざ凝った設定にしていじっているところをみると、作者はこの二人がきっと好きなのだろうな。奇遇なことに私もだ(^^;
読了日:11月30日 著者:明音,バンダイナムコゲームス 原作
超時空要塞マクロス THE FIRST (1) (角川コミックス・エース 6-21)超時空要塞マクロス THE FIRST (1) (角川コミックス・エース 6-21)
マクロス本放送をリアルタイムで観ていた私が通りますよ。マクロスと言えば劇場版が本道のようになっているけれど、本作はTV版準拠だ。いきなりゼントラーディ軍との先頭の最中から始まる劇場版のめくるめく展開も良かったけれど、マクロスが洋上に落下して来る場面のセンスオヴワンダーはTV版ならでは。絵柄は現代風になっているけれど、全体の雰囲気は何とも懐かしい。物語の導入部であり、登場人物紹介を兼ねている第一巻のペースが心持ちゆっくりなのは仕方がないところ。このペースだと伝説の27話「愛は流れる」にたどり着くのはいつ頃に
読了日:11月30日 著者:美樹本 晴彦

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